打ち刷毛のお手入れ方法

修復用の刷毛は数多くありますが、その中でも打ち刷毛は「塗る」のではなく、文字通り「打つ」ための刷毛です。他の刷毛と見比べても一目瞭然、毛質が太く密度も高いので存在感は抜群です。

主に打ち刷毛は、掛け軸の増裏打ち(ましうらうち)や総裏打ちに使います。掛け軸は基本的に巻いて保存するもの。そのためには出来る限り糊の量を減らして、紙の風合いを柔らかく仕上げる必要があります。

糊が少ない=接着力が弱い、です。ここで本領を発揮するのが打ち刷毛。少ない糊でも打ち刷毛で打つことで、和紙の繊維がしっかりと毛羽立ちます。作品にもよりますが、打つ目安は全体を3~4回ほどタンタンと力強く打ちます。

打ち刷毛の使い方

さらに刷毛の重みで繊維同士を圧着させ、紙を柔らかい風合いに仕上げることができるのです。

打ち刷毛

打ち刷毛は、大切に使えば数十年もの長い期間使い続けることができます。寿命にすると30年~40年と言われほどの耐久性です。もちろん長く愛用するために、お手入れには少しコツがあります。

まず第一に、刷毛全体を水に濡らさないことが重要です!全体を濡らしてしまうと、毛の密度が高いため十分に乾燥することができません。湿気がのこり、毛が腐ってしまう可能性があります。水をつける場合は、毛先だけ濡らすようにしてください。

また使用後の打ち刷毛には、繊維がびっしりとついています。毛先についた繊維は手やピンセット、布巾などを使って丁寧に取り除きましょう。保管の際には毛先を下に向けて紐で吊り下げるようにしてください。風通しの良く直射日光があたらない場所がベストです。

打ち刷毛のお手入れ方法


このポイントを守っていただければ、打ち刷毛は修復作業の相棒として長くお付き合いいただけます。

修復刷毛

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